不快なニオイを求めて

    このキノコは、8月の末あたりから富士山のあちこちで大群生していた。その幼菌などは、遠くから眺めるとオオツガタケでも生えているのではないかと見間違ってしまうほどに立派な型をしているのだが、近づいて確認してみると、ベニタケ系ならではのその真っ白で脆そうな柄にガッカリしてしまう。おそらく、クサハツモドキでよいだろう。
    古い油のような不快な臭いがするクサハツに対して、クサハツモドキは杏仁水(きょうにんすい)やビターアーモンドのような香りがするとされている。私は杏仁水自体を嗅いだことがないのだが、恐らく杏仁豆腐に近い匂いだろうと推測すると、このキノコの香りはピッタリと来ない。決して不快な匂いではないのだが、どうしても私には薄めたカルキのニオイにしか思えない。これをさらに薄めていけば、安ものの杏仁豆腐の匂いに近いと言えないこともない気もするが・・・。もしかしたら、クサハツモドキとも別の種類なのだろうか。
    以前はこのキノコも大雑把に「クサハツ」と捉えていたのだが、富士山で見かけるのはこの「モドキ」ばかりのような気もする。どうしても「古い油のような不快な臭い」に出会わないのだ。クサハツクサハツモドキのいずれにせよ、辛くて食べられないようなので特に問題はないのだが、最近では積極的に不快な臭いを求めているフシさえある。
    もう一つこのキノコの仲間をあげると、オキナクサハツという菌がある。カサの表面がシワっぽく、表皮がはがれたようになっている。この外見が「お爺さん=オキナ」っぽいという意味であろう。里山でもよく見かけるが、この爺さんは前掲の二種以上に辛くて食えない代物だそうだ。


    2010/8/27 (富士山)


    2010/8/27 (富士山)


    2010/7/7 (東京郊外) *これがオキナクサハツ

    悩ましい夏のキノコ

    6月に入る頃から他の菌たちに先駆けて姿を現す夏のキノコに、ベニタケ科の面々がある。ここから秋に向かえばハツタケチチタケといった人気の食菌も出てくるが、今の時期に見られるベニタケ科のキノコは食べるのには向かない種類も多く、またその同定が難しいということもあって、ついついスルーしてしまう。
    ベニタケ科と言っても赤色のものだけではなく、白、黒、黄、緑、紫、茶などさまざまな色を身にまとっている。写真左上のキノコは、柄にも赤みが差していること、臭いがないこと、広葉樹林内に生えていたことなどから、たぶんヤブレベニタケ。傘が破れやすいというのも特徴。右上はオキナクサハツ。このボロボロシワシワな感じは間違いないだろう。左下はクサイロハツだろう。見た目が似ているキノコにはカワリハツの緑色タイプというのがあるが、傘の縁の条線が決め手か。右下は、クロハツモドキだと思う。ヒダが密であったこと、そして傷ついたところが黒変していたことから。似た種類にはクロハツニセクロハツがあり、ニセクロハツは食べると死に至るほどの猛毒菌なので要注意だ。と、偉そうにここで書いてはいるが、正直言ってオキナクサハツ以外は同定に確信がない・・・。
    食べられない、もしくは食べても美味くないキノコなのだから、普通の人たちからすれば細かい違いなんかどうでもいいことだろうが、キノコ師たちはベニタケ科のキノコをしっかり同定できることで悦に入るものなのだ。


    今の時期に多く見られるベニタケ科のキノコ (東京郊外)
    Eat-a Fungi.
    東京在住。キノコ中級者。いちばん好きなキノコはチャナメツムタケ。自由業。

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    *このブログ中でのキノコの同定には間違いがある可能性もあります。天然キノコを食される場合にはご自身の責任においてご判断ください。 *福島第一原子力発電所事故の影響により富士山をはじめとする各地で天然キノコの採取に対する自粛の要請が自治体から出されています。このサイトは皆さまに各地での天然キノコ採取を薦める主旨のものではありません。くれぐれも、各自、自己責任でのご判断を願います。