スギタケふたたび

    先日、富士山の中で見つけたスギタケをアップしたばかりではあるが、再びである。
    コウタケが出る山の細い林道をクルマで走っていたら、道路脇にキノコが群生しているのが目に飛び込んできた。クルマを停めて見てみると、道路のアスファルトと縁のコンクリートブロックの隙間から下の写真のようなキノコがモリモリと発生していた。これは土から生えているからツチスギタケだなと一瞬考えたのだが、この個体は色味が黄色に振れすぎている。ネット上で見ていたツチスギタケは、かなり茶色っぽい地味めな印象があったのだが・・・。
    家に帰ってから「山渓カラー名鑑・日本のきのこ」で調べてみると、「ツチスギタケ」のページには色がそれほど茶色っぽくもない個体が載っている。あれ、やっぱツチスギタケでいいのか?色の変異が強いのだろうか?などと思いつつも、ネット上でいろいろ調べてみると、真相(それほど大層なことではないが・・・)が見えてきた。どうやら、「山渓カラー名鑑」に載っているツチスギタケの写真は、スギタケを誤って掲載しているということらしい。「土に生えているからツチスギタケ」という考え方から来たミスらしく、土から生えていても、土中に埋もれた腐朽木などから生えているスギタケであることが往々にしてあるということのようだ。そういう情報に鑑みると、ここに挙げた写真の個体は、その典型的な色味や鱗片から推測して、地中の埋もれ木から発生した「スギタケ」なのであろう。
    ただ、もう一つだけ疑問が残ったのは、このキノコが生えていた場所についてである。全体としては「広葉樹の山」と言えるよう環境なのだが、この道の両脇に限って言えば「スギ/ヒノキの植林地」だった。スギタケだからスギ林に生えていても当たり前なのでは?・・・いやいや、スギタケは基本的に広葉樹から生えるキノコだ。スギタケの「スギ」は、植生ではなく、このキノコの見映えから来ているということはよく知られている。スギに生えるスギタケもあるのか?いやいや、きっと、植林前の広葉樹が地中に埋まっていて、そこから生えてきているんだろうな・・・。こいつは、二重のフェイクで謎を突きつけてきたスギタケであった。


    2011/10/20 (山梨県)


    2011/10/20 (山梨県) ※まわりにスギの枯れ葉が落ちているのが見えるでしょう


    ※このササクレや鱗片の見映えがスギの木に似ているからスギタケと呼ばれる

    ひしめき合うトゲトゲ坊主

    スギタケ一族の一つ、これはスギタケモドキじゃなかろうか。スギタケモドキとした理由は、鱗片がトゲ状、粘性はほぼ無し、地の色がシロっぽい。ただし、幼菌なので、今後どのように成長するかを見とどけないと、何とも言えないところはあるが・・・。
    それにしても、スギタケの仲間は幼菌の時の姿が可愛らしい。ひとつひとつのトゲトゲぶりもそうだが、それが数多く密集している景色にとても愛嬌がある。子どもの頃、こんな豆菓子があったような気もするが、気のせいだろうか。


    2011/10/8 (山梨県)


    スギタケモドキにしては、トゲが反りかえりすぎてるだろうか?

    スギタケ一族の長

    スギタケ」と名の付くキノコの種類も多い。スギタケスギタケモドキツチスギタケヌメリスギタケヌメリスギタケモドキなどなど。これらの一族?の共通点は、カサの表面が、トゲ状の(に近い)鱗片に覆われているということだろう。学術的な分類では、すべてモエギタケ科スギタケ属の仲間となる。
    この仲間たちは見た目も似ているので同定が難しい場合も多いが、まずは粘性の有り無しが重要な判別の要素になる。ヌメリスギタケは全体に強い粘性、ヌメリスギタケモドキはカサだけに強い粘性、スギタケモドキはカサに弱い粘性がある。他は粘性なし。ヌメリスギタケヌメリスギタケモドキは、キノコ採りをする人たちの間でも、ナメコのように食べられる優良食菌としてメジャーな存在だ(ナメコもモエギタケ科スギタケ属である)。
    さて、ここに写真を挙げたのは「粘性なし」の個体だった。となると、スギタケかツチスギタケ。立枯れ木の根際に生えていたこと、そして全体が黄色がかった褐色であることを考えると、一族の標準種であるスギタケであろう。スギタケは「食菌」扱いであるとは思うが、人によっては当たることがあるので、茹でこぼしてから食べろと言われる。この個体は、少々古くなっていたので、写真を撮るだけにしておいた。


    2011/10/9 (富士山)


    ※柄にも鱗片(ササクレ)がある。

    ヌメリとかモドキとか

    たぶん、ヌメリスギタケ。倒木系の中ではメジャーなキノコだろう。「たぶん」と付け加えているのは、このキノコの仲間には似たような種類が多いからだ。スギタケ属というナメコとおなじ仲間に入るが、その基準種であるスギタケがあり、スギタケモドキがあり、さらにはヌメリスギタケモドキもある。スギタケには粘性がなく、スギタケモドキには少し粘性があり、ヌメリスギタケヌメリスギタケモドキには強い粘性があるが、ヌメリスギタケモドキの柄には粘性がない。
    この写真の個体は、柄にまで強い粘性があったのでヌメリスギタケだろう。スギタケモドキとしてはヌメリが強すぎる。雨によってカサの粘性が柄に流れ落ちている可能性もあるが、ヌメリスギタケモドキはカサ全体が黄褐色で、鱗片がもっと大きくて間隔も疎であるから、これはヌメリスギタケとした。ただし、下段の写真の幼菌は上の成菌とは別の場所に生えていたもので、全体が乾燥していたので同定に自信はない。
    地元の人たちは、カサに鱗片をつけたキノコを大雑把に「スギタケ」として、「一度湯がいてから食え」「地面から生えているのはダメ」と言う。スギタケやスギタケモドキは人によっては軽く中毒することがあり、土から生えるツチスギタケという有毒種も別にあるからだ。また、倒木から発生するが、全体がオレンジ色で、繊維状の鱗片をつけるハナガサタケも不食扱いである。ヌメリスギタケやヌメリスギタケモドキは汁物などに入れると、ナメコと同系統の日本人好みの味わいで、美味しいキノコだ。


    2010/9/10 (富士山)


    2010/9/10 (富士山) *幼菌の状態だと同定は難しい
    Eat-a Fungi.
    東京在住。キノコ中級者。いちばん好きなキノコはチャナメツムタケ。自由業。

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    *このブログ中でのキノコの同定には間違いがある可能性もあります。天然キノコを食される場合にはご自身の責任においてご判断ください。 *福島第一原子力発電所事故の影響により富士山をはじめとする各地で天然キノコの採取に対する自粛の要請が自治体から出されています。このサイトは皆さまに各地での天然キノコ採取を薦める主旨のものではありません。くれぐれも、各自、自己責任でのご判断を願います。