シーズンに終わりを告げるキノコ

    「このキノコが出ると、もうシーズンも終わりだ」と思わせるような菌がいくつかある。シモフリシメジフユヤマタケ、そしてここに写真をあげたムラサキシメジキヌメリガサなどもその類であろう。
    広葉樹の山はその肌が落ち葉で埋め尽くされ、自分の脚を進めるたびに踏みしめる音はもちろんのこと、木々からハラハラと葉が落ちて地面に触れる際の音までが乾ききっている。カサカサの落ち葉を掻き分けて、ムラサキシメジがポコポコと姿を現していた。若いうちにはキレイな紫色を呈しているが、成菌になると色あせて白っぽくなる。この時期にたくさん収穫できるキノコではあるが、食感、味わいともに「ゴムっぽい」ので、個人的にはあまり触手が伸びない。
    富士山のカラマツ林の中では、いつもはヌルヌルとしているキヌメリガサまでが乾いて、カラマツの葉をカサに貼り付けていた。「キノコ」を始めたばかりの頃は、ハナイグチなどの良菌がたくさん姿を見せるカラマツ林にもよく足を運んだのだが、最近では、サプライズの少ないカラマツ林はどちらかというと避ける傾向さえあり、シーズン終盤のキヌメリガサ採取もしなくなってしまった。コンキタケとも言われるこの菌は、採取・処理ともに手間がかかるが、非常に優秀な食菌だと思う。
    今の時期に山を巡るのは、「シーズン最後のサプライズ」を期待してという意味もあるが、今年も世話になった山や樹々に感謝の挨拶をしてまわるという意味も大きい。


    2011/10/27 (山梨県)


    2011/10/27 (富士山)

    里には里の秋

    私が住んでいるところは東京でも郊外にあるので、まだ近くに、宅地開発されずに残った丘陵地などがある。近所の人の散歩コースなどになっているようだが、ここでは夏のヤマドリタケモドキなど、そこそこの食菌が採れる。秋には富士山などの山に出かけることが多く、近所を覗くことが減ってしまうのだが、久しぶりに自転車で出かけてみた。里では、今年の猛暑が直に影響しているはずなので、あまり期待していなかったのだが、意外にもいろいろなキノコを見ることができた。
    中でも、ムラサキシメジがそこそこの数で群生しているのには驚いた。山地でも、もう少し遅い時期に出る「晩秋キノコ」のイメージがあったが、幼菌から老菌まで、あちこちで枯れ葉を持ち上げて姿を現していた。富士山などではムラサキシメジと似ているフウセンタケの仲間も発生するが、幼菌にもクモの巣状の膜が見られなかったのでムラサキシメジに間違いないだろう。このキノコには、独特の食感がある。肉は緻密なのだが柔らかい弾力があり、個人的に擬態語で現すと「キニュキニュ」となる。ゴム質の引っかかりのような感覚があるのだ。今回、若い菌を鼻に近づけてみると、ゴム臭のような臭いまで感じられたのだが、気のせいだろうか。
    他にも、今シーズンの富士山では不作と言われていたナラタケなども群生しており、里には里の、独自の秋が展開されているようである。


    2010/10/8 (東京郊外)


    2010/10/8 (東京郊外)


    2010/10/8 (東京郊外)
    Eat-a Fungi.
    東京在住。キノコ中級者。いちばん好きなキノコはチャナメツムタケ。自由業。

    Eat-a Fungi

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    *このブログ中でのキノコの同定には間違いがある可能性もあります。天然キノコを食される場合にはご自身の責任においてご判断ください。 *福島第一原子力発電所事故の影響により富士山をはじめとする各地で天然キノコの採取に対する自粛の要請が自治体から出されています。このサイトは皆さまに各地での天然キノコ採取を薦める主旨のものではありません。くれぐれも、各自、自己責任でのご判断を願います。