お薦めキノコ本・その2

    「シーズンオフ」なので、久々にキノコ本について。
    日本でもいろいろなキノコ本が出ているが、その中にはメインストリームとも言うべき大きな軸がある。それは、川村清一~今関六也/本郷次雄という現代日本のキノコ学を支えてきた研究者/学者の流れで、その集大成的なキノコ本が、「一般向け」としては山渓カラー名鑑「日本のきのこ」になるわけだ。
    右上の写真の「山渓フィールドブックス/きのこ」は、まさにその「日本のきのこ」のハンディ版のような本であるが、こちらの方が1155種と、さらに掲載種が多い。ハンディサイズでそれだけの種類を載せるのであるから、ひとつひとつの解説や写真などはとても簡潔に済ませてある。パラパラとめくることができるので、日頃から「日本のきのこ」を見ている人が簡単な「確認」のために使うのが相応しい。なお、ここにアップしたのはちょっと古い版のもので、最新のものは表紙がドクツルタケになっていたかと思う。
    他の3種類の本は、そのメインストリームとはちょっと趣向を異にする。左上の家の光協会「カラー版きのこ図鑑」は本郷次雄氏監修にはなっているが、著者となっているのは「幼菌の会」というグループであり、学者の流れというよりはキノコ愛好者/同好会の流れと考えた方がよいようだ。ナラタケの細かい種類が載っていたり、ホウキタケ類については慎重に「~の仲間」とされていたりと、2001年初版ということもあり、「新しい流れ」を感じさせる本だ。表紙がビニールカバーで、中の紙質も良いので、手に馴染んで扱いやすい印象がある。



    左下は、文庫サイズの「ポケット図鑑・日本のキノコ262」。写真家による本だけあって、掲載されている写真
    の点数が多いのが特徴。262種類のキノコそれぞれについて、切断面やヒダのアップなどが載っていて面白い。もともと食べるのが主目的でない人が著者となる場合に多く見られるように、食毒の判断については厳格・慎重派。
    右下の本は、大きめのサイズ(B5?)で350ページ以上の「大型本」なのに、1500円と割安感がある「場所・かさ・柄・胞子 よくわかる きのこ大図鑑」。長野で「ペンションきのこ」という、この筋では有名なペンションを開業されている小宮山勝司さんが書かれた本。掲載されているキノコの種類やその説明などにどことなく「ローカル色」が感じられ、数多く掲載されている写真にも「素人」っぽさがあって、それがかえってリアリティを感じさせて興味深い。キノコ料理のレシピの数が多いのも、さすがペンションオーナーという感じだ。
    キノコ本を選ぶ時には、系列の違う著者が書いたもので複数を手元に置いておくと、違った視点による発見もあって、より見識を深められると思う。

    アップのタイミングを逸したメジャー菌三種

    ひとまず納籠をしたあとで、そういえば何であのキノコは記事にしてなかったんだっけ?という菌が、いくつか思い浮かんだ。
    まずは、カワリハツ。富士山では、かなり早い時期から姿を見せはじめ、長い期間生えつづけている。ベニタケ系のキノコの中でも「美味しい」とされており、形もキレイだし、数もたくさん採れる。ただし、私は採らない。それは、ベニタケの仲間特有のボソボソな食感が苦手、美味しい食べ方を知らない、意外と同定の決め手がないなどの理由からだ。姿形がキレイな白脚のベニタケを見つけると、自分では「カワリハツだ(・・・たぶん)」と思いつつも、採取することもなくそのまま通り過ぎてしまうので、カワリハツの同定の決め手を知らぬままにいる。詳しい方がいらっしゃれば、どうぞご教授ください。
    二つ目は、ヤマイグチ。こちらも夏のうちから、カンバ類の樹があればいくらでも出ているメジャー菌。大型で立派なキノコで、柄をソテーなどにすればシャキシャキとして美味しい菌だ。今年は猛暑の影響からか、富士山ではけっこう遅い時期まで姿を見せていた。個人的には、このキノコも、もう採らなくなってしまった。いくらでも出ているので採りだすとキリがないし、他にもっと優秀なイグチ類が生えているからか。近似種のキンチャヤマイグチを見つけたら、2種を比較しながら記事にしようと思っていたのだが、今年も見つけられなかった。キンチャもカンバ類の林に出るはずなのだが、いまだに出会えていない。
    最後は、ツバアブラシメジ。こちらは、富士山では9月に入る頃から姿を見せはじめ、キレイな個体をあっちこちで見つけることができる。いわゆるヌメリ系のキノコで、富士山では、似たようなところに生えているヌメリササタケと間違いやすいかもしれない。ヌメリのあるカサとは違って柄はボソボソしており、虫が入りやすく土臭い。以前はカサだけを汁の実などにしていたが、最近では採らなくなってしまった。処理が面倒な割には、それほどの味とも思えないからだろうか。おなじヌメリ系なら、ヌメリササタケに軍配が上がると思う。広葉樹の山に行くと、ツバアブラシメジを大型にしたようなキノコに出会うが、あれはマムシフウセンタケだろうか。
    ここにあげた3種は、富士山ではとてもメジャーな菌で、どれも「美味しい」とされている種類なのだが、個人的にはどうも敬遠してしまいがちで、気づいてみれば記事にされていなかったということのようだ。


    2010/8/18 (富士山) ※たぶん、カワリハツ


    2010/9/24 (富士山)


    2010/9/24 (富士山)
    Eat-a Fungi.
    東京在住。キノコ中級者。いちばん好きなキノコはチャナメツムタケ。自由業。

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    *このブログ中でのキノコの同定には間違いがある可能性もあります。天然キノコを食される場合にはご自身の責任においてご判断ください。 *福島第一原子力発電所事故の影響により富士山をはじめとする各地で天然キノコの採取に対する自粛の要請が自治体から出されています。このサイトは皆さまに各地での天然キノコ採取を薦める主旨のものではありません。くれぐれも、各自、自己責任でのご判断を願います。