山はキノコの端境期

    コウタケなどが出る広葉樹の山を軽く覗いてきた。台風後のお湿りがないからか山の中は乾き気味で、ほとんどキノコの気配がなかった。写真は、乾いた山肌から姿を現していたシャカシメジの幼菌。10月ともなると、広葉樹の山が賑わいはじめ、富士山ではキノコたちが標高を下げ、秋も後半戦という様相を呈するのだろう。


    2011/9/28 (山梨県)

    台風一過のマイタケ山

    台風が過ぎて2日目、マイタケの出る山を菌友と歩いてきた。天候は、ずっと小雨状態。マイタケの出るような山は急峻な斜面が多く、またいくつもの沢が山間を縫っている。関東を直撃した台風の後だ、当然、あっちこっちで倒木が進路をふさぎ、沢に架けられた簡単な橋はほとんどが押し流されていた。菌友とともに、倒木を運んできて沢をまたがせ、自家製の「橋」を何カ所かで作りながら奥地まで進んでいくと、キレイに開いたマイタケが出迎えてくれた。急な斜面に取り付き、登ったり降りたりを繰り返せば、もっと収穫が望めるのだろうが、雨天の際の斜面は滑りやすく危険で、またすでに大物をゲットした安心感からか、なんやかやと理屈をつけながら「今日は早めに降りよう」などと自分らを納得させて、体力気力の衰えを誤魔化した。


    2011/9/23 (山梨県)

    針葉樹林内のクリフウセンタケ

    以前にも書いたが、富士山の針葉樹林を歩いていると時々クリフウセンタケが見つかる。しかし、周りを見渡しても広葉樹が見あたらずに、首をかしげてしまうことがある。通称クリフウセンタケ、正式名ニセアブラシメジは、オレンジにも近い明るい褐色のカサと、クモの巣状の膜が特徴だ。採ったクリフウセンタケを鼻に近づけると、ツガタケなどにも通じるような甘い香りがする。まとまって生えていることが多く、とても「キノコらしい」菌である。その美味しさは、保証付き。


    2011/9/22 (富士山)


    2011/9/22 (富士山)

    ヌルリンボウ2態

    自分は、上の写真のキノコを見つけた時には、「ツバアブラシメジだ」と言う。一方で、下の写真のキノコを見つけた時には、「ツバアブラシメジだ・・・と思う」と言う。カサの色が赤褐色のものと、グレーグリーンがかった黄土色のカサのもの。地元の人たちは、どちらのキノコも大雑把にアブラシメジ、またはヌルリンボウと呼んでいる。ヌメリがある美味しいキノコということで、それ以上の区別は必要ないわけだ。下の写真のタイプは、柄の色が若干ムラサキがかっており、ヌメリササタケにも似ている。その紫色がもっとハッキリと出ている場合には、自分では「ヌメリササタケだ」と言っている。この仲間のキノコは、学者でも同定が難しいらしい。


    2011/9/22 (富士山)


    2011/9/22 (富士山)

    ムラサキ一色

    自然界で、ここまで紫色で全身が統一された生物もなかなかないのではないかと思う。前述のコガネヤマドリ同様、この菌も富士山のシラビソ+カラマツ林の中でよく見かける。オオムラサキフウセンタケ
    以前は、姿形や味などについての特徴がほぼ変わらないムラサキフウセンタケと同種とされていた。しかし、近年では、広葉樹林内に発生するムラサキフウセンタケに対して、針葉樹林に発生する少し大型の菌は別種であることが明らかになっている。少し大きめだからオオムラサキフウセンタケという名前が付いているのだが、どうもこれは正式なものではなく「通称」のようだ。味にクセがあるので食べる際には味付けを濃いめに、という指摘はムラサキフウセンタケと同様である。


    2011/9/22 (富士山)


    2011/9/22 (富士山)


    ※ヒダの隅々まで紫色

    歯ごたえサイコー無味無臭

    コガネヤマドリ。ハナビラタケを探索する夏場から始まり、秋の頃まで、富士山のシラビソ+カラマツの植林地でよく見かける。図鑑には、広葉樹林内に発生と書いてあることが多いようだ。
    大きくてしっかりとしたイグチで、カサの表面はビロード状。可食である。ヤマドリという名前が付いていることからもわかるように、美味なイグチの代表ヤマドリタケ(ポルチーニ)に近い菌。しかし、残念なことに、その歯ごたえの良さに比べて風味の方はあまりよろしくない。不味いというよりは、一般的に「無味無臭」と言われるので、ソテーしたりして「味付けによって食べる」という発想で望めばよいかも知れない。


    2011/9/22 (富士山)


    2011/9/22 (富士山)



    ※変色性はなさそうだ

    鬼のような生命力

    ナラタケには多くの種類があるが、富士山でよくみかけるのはオニナラタケだ。柄が太くて下部が膨らみ、とても頑丈そうな印象がある。ナラタケは繁殖力が旺盛で、枯れ木だけでなく生木までにも菌をはびこらせ、林業関係者には迷惑がられる存在だ。写真の個体は、台風一過の富士山の森で、まだ死んでいるようには見えないシラビソの木からモリモリと発生していたオニナラタケ。このような光景があちこちで見られた。確かに、これは生命力が強そうである。
    そう言えば、「世界最大の生物」は、米国オレゴン州の森林公園内で発見された、推定重量約600tのオニナラタケだという話を聞く。総面積が8900000㎡。もちろん、1つの子実体ではなく、森の木々の中にはびこる菌糸を含めた菌全体のサイズの話である。確かに、この生命力ならば、ひと山を支配するなんてことも可能なのかも知れない。


    2011/9/22 (富士山)


    2011/9/22 (富士山)
    Eat-a Fungi.
    東京在住。キノコ中級者。いちばん好きなキノコはチャナメツムタケ。自由業。

    Eat-a Fungi

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    *このブログ中でのキノコの同定には間違いがある可能性もあります。天然キノコを食される場合にはご自身の責任においてご判断ください。 *福島第一原子力発電所事故の影響により富士山をはじめとする各地で天然キノコの採取に対する自粛の要請が自治体から出されています。このサイトは皆さまに各地での天然キノコ採取を薦める主旨のものではありません。くれぐれも、各自、自己責任でのご判断を願います。