富士山の世界遺産登録に思う

    富士山の世界遺産登録がほぼ決まったようだ。もともと自然遺産としての登録を目指してきたが、ゴミ問題などの影響からそれは断念し、文化遺産としての登録に切り替えていた。その戦略が功を奏したか。正式には「富士山と信仰・芸術の関連遺産群」としての登録になるそうだが、富士山の「自然」が主役になるのは間違いないだろう。そこで気になるのは、自然保護に伴う「規制」の問題だ。
    以前、世界遺産登録後の屋久島に出かけたことがある。登録以前の屋久島を見ていないので正確な比較はできないのだが、そこにはまさに「観光地」化して、人間から隔離された「遺産」があった。縄文杉までの往復20km以上に及ぶ道程は終始「行列」状態という恐ろしい光景。ところどころに湧き出ている水で手でも洗おうと山道から外れようとしたら、トレッキングツアーか何かのガイドから「山道を逸れてはいけない」と注意をされてしまった。何で自然と触れあうことを禁止されるのか?私は文句を言ったのだが「それを許してしまうと、この数の人間が入っている状況では、山が荒れてしまう危険性があるのです」とのお答だった。宿泊した民宿の女将さんもおっしゃっていた。「世界遺産になってから、それまでは興味もなかった人たちが押し寄せるようになって規制を強めざるをえなくなった。世界遺産にしたことが本当に良かったのかどうか・・・」と。
    富士山はどうなるのだろう。地元の人たちはもちろん、私たちも普通に富士山の原生林に分け入り「遊んで」もらってきた。そこには、自然に対する畏怖の念をベースとする「暗黙のルール」が存在していた。それを逸脱するとケガや遭難といった大自然からのしっぺ返しを受けることを理解して、自然の中で自分(人間)の非力を感じながら付き合ってもらう。その関係は、それこそとても「自然なカタチ」だったのではないだろうか。
    山道に柵を作って監視員の指導の中で行列しながら眺める。「自然と人間の関わり」から離れて、陳列棚に並べてしまうことが本当に自然を保護することなのか、非常に疑問である。もともと荒れつつある場所、もしくは、今後、荒れることが予想される場所を、人間との関わりがある「現役」状態をあきらめて「遺産」として保護するのは理解はできる。文化遺産というのは、そういう趣旨であろう。しかし、それまではある意味の「自己責任」というルールによって守られてきた人間と自然の関係が世界遺産化により崩されてしまい、それにより懸念される荒廃を阻止するために規制を厳しくするという構図を見ると、なんだかマッチポンプを見ているような違和感を感じてしまう。その真意が、観光客増加などの「経済」にあることを知れば、なおさらである。
    恐らく、今後、富士山でもさまざまな規制が厳しくなるだろう。「富士山の原生林に分け入りキノコを採取する」なんてことは遙か彼方の昔話、なんてことになってしまうのかも知れない。都会で汚れた心身を浄化してもらうために、森の中をひとり彷徨う。これまでに、どれだけ富士山に救われてきたことか。私の場合、たった7年ほどではあるが、とても素晴らしい体験をさせてもらった。
    ありがとう。富士山よ、本当にありがとう。

    Eat-a Fungi.
    東京在住。キノコ中級者。いちばん好きなキノコはチャナメツムタケ。自由業。

    Eat-a Fungi

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    *このブログ中でのキノコの同定には間違いがある可能性もあります。天然キノコを食される場合にはご自身の責任においてご判断ください。 *福島第一原子力発電所事故の影響により富士山をはじめとする各地で天然キノコの採取に対する自粛の要請が自治体から出されています。このサイトは皆さまに各地での天然キノコ採取を薦める主旨のものではありません。くれぐれも、各自、自己責任でのご判断を願います。