影の薄いシロナメツムタケ

    晩秋の森の主役の一つはチャナメツムタケだろう。見た目もキレイで、たくさん採れて、その上美味しい。そのチャナメとおなじ環境に、とても頼りなさげに姿を見せている地味な存在がシロナメツムタケだ。
    チャナメよりも小型のものが多く、ポツンポツンと単生または散生していることが多い。また採取した後も、すぐにグズグズに弱っていく。味の方は・・・たいていチャナメと一緒に料理の中にブチ込まれてしまうので、チャナメとの違いもよくわからない。優秀な食菌のはずなのに、ちょっと可哀相なくらいに影が薄いキノコだ。
    シロナメツムタケという名前ではあるが、その色は純白ではなく薄いクリーム色に近く、カサの中央部はわずかに褐色が強い。ささくれのある柄はチャナメに比べると細く弱々しい個体が多い。


    2014/10/26 (富士山)


    2014/10/26 (富士山)


    2014/10/17 (富士山)

    モエギタケ科の科長?

    優秀な食菌を数多く揃える「モエギタケ科」の科長?であるモエギタケ。湿気を帯びている時のぬめりが半端ない。まるで、カサの上にゼリーを纏っているかのようである。シラビソに広葉樹が混じっているような森の中に出ていた。柄に見られる若干のササクレ、そして紫色を帯びるヒダも特徴の一つだろう。一般的には食毒不明扱いか?自分は、以前、モエギタケを食べたことがあるが、味も香りも歯ごたえも、どこにも取り柄なしだった記憶がある。



    2014/10/17 (富士山)


    2014/10/17 (富士山)


    ※ヒダは紫色を帯びている

    トビにもほどがある

    富士山の森の中で、大きなキノコが地中に半分埋まった状態でヒダの側をめくれ上がらせていた。表側をのぞき込むと、特徴ある鱗片が確認できた。シーズン終盤の、開きのマツタケだ。ここまで書くと「よくある話」でしかないのだが、この個体を見つけた「森」がくせ者なのだ。
    この日は、先日の台風で充分に湿り気を帯びた御山で「お宝」をゴッソリと!と意気込み、日の出とともにアカマツ林に乗り込んだのであるが、まったくのスカ。マツタケどころか毒キノコも見あたらない。先週も同じような状況だったので「今シーズンのアカマツ林は不作なんだな」と諦め、雑キノコ狙いでシラビソ/カラマツ林にそそくさと場所を替えた。そこそこ量のチャナメが採れたので帰路につこうかと思ったその時、地中から半分だけ姿を現す大きなキノコが目に入った。それがこの個体だ。
    その森は、シラビソとカラマツの植林地。アカマツはもちろん、ツガ/コメツガもまったく見あたらない。この個体は、いったい何の樹とつながっているのであろうか。共生している樹から遠く離れたところに顔を出すマツタケを「トビ」と呼ぶらしいが、どれだけの距離を飛んでいるんだ?「今シーズンのマツタケは終了!」と気持ちを切り替えて入った森の中での出来事だっただけに、しばらくは何が起きているのか理解できぬまま森の中でボーッと立ち尽くしてしまった。


    2014/10/17 (富士山)


    ※カサの表面側

    コガネヌメリガサもしくはウコンヌメリガサ

    秋も終盤に、カラマツ林の中に黄色い可憐なキノコが姿を現す。キヌメリガサ。地元の人たちからはコンキタケなどと呼ばれる。小さい上にぬめりが強く、散生するこのキノコを集めるのには根気が要る。採取以上に、後からのゴミの処理にはとても骨が折れる。
    キヌメリガサはカサの全体が黄色を帯びるが、ここに挙げた個体のようにカサの中央がオレンジ色を帯びている菌は仮称コガネヌメリガサもしくはウコンヌメリガサと言われ別種類らしい。柄の上部は白く、下部は黄色を帯びて太まっている。白い部分と黄色い部分の間にハッキリと段差が付いているような個体もある。柄全体が白いキヌメリガサに比べて、この黄色い部分が強い粘性を生み出しているようだ。
    キヌメリガサがカラマツ林に発生するのに対してコガネヌメリガサは高山帯の針葉樹林に出る、という説明がされるが、写真の個体は富士山のカラマツ林に出ていた。以前にアップした「キヌメリガサ」も、いま見直してみるとコガネヌメリガサと思われる。富士山では逆にキヌメリガサの方が珍しいのだろうか?その違いがハッキリしないので、ここでは「キヌメリガサ」で一括りにしておこうと思う。どちらにしろ汁物の具などにすると美味しく食べられるキノコだ。


    2014/10/17 (富士山)


    2014/10/17 (富士山)


    ※柄の上部とヒダは白色

    約1週間で花ひらく?

    マイタケの成長具合がわかるBefore/Afterの同ポジ写真が撮れたのでアップしとこう(と言っても、同ポジになったのは、狙ったわけではなく「たまたま」なんですが・・・)。上の写真は、幅2〜3cmのマメ状態だったマイタケ。それが8日後には、下の写真のような頃合いのよいサワリ〜サカリの状態に。これで幅は12cmほど。この後さらに成長してスワリ〜ナガレと変異し、その生涯を終えるのだろう。もちろん、その前に採取させていただいたわけだが。


    2014/9/26 (山梨県) ※幅2〜3cm


    2014/10/4 (山梨県) ※幅12cmくらいに成長した株

    茶色、白、そして黄色

    ブナ林を再訪したもう一つの狙いが、これ。キナメツムタケ
    先週、チャナメツムタケだと思ったキノコの色がちょっと薄い感じがしたので、家に帰ってきてから調べてみたら「キナメツムタケはブナなどの倒木から発生する」と出ていた。ははあ、あれはキナメツムタケだったか。今度はシッカリ観察しようと、再度訪問したわけだ。
    雨後などにぬめっている状態だと、色の薄いチャナメツムタケと見分けがつきにくいが、少し乾いた状態だと確かに「黄色」の印象が強い。乾燥時、カサの縁の裏側に膜の名残がハッキリと残るのは一つの特徴だろう。おなじ森の中でチャナメツムタケシロナメツムタケも見ることができた。
    倒木から出る黄色いキノコといえば誰もが毒菌ニガクリタケの存在を思い出すからだろうか、図鑑等でもあまり紹介されてないこともありキナメツムタケに手を出さない人は多いと思う。キノコを鑑定してくれるお土産屋のおばちゃんも「黄色いのはやめとき」と言ってNG扱いだった。しかし、カサのヌメリが強いこと、そして生で囓ってみたところまったく苦みは感じられなかった(どころか、すでに「おいしい」味がしていた)ことからもニガクリタケではないことは明らかだ。ぬめり系キノコ定番の味噌汁にしてみたところ、チャナメツムタケよりも弾力が強く、味の主張も強い。なかなか美味しいキノコだ。


    2014/10/2 (富士山)


    2014/10/2 (富士山)


    2014/10/2 (富士山) ※たぶん地中の埋もれ木から出ている


    ※カサの縁に残る膜。柄の根元は少し太くなっている。

    ブナ林の大理石模様

    このキノコは何度も見たことがあるが、天然ものとは初めての出会いだった。ブナシメジ。そう、スーパーなどで売られている、あのブナシメジの天然ものだ。ブナの倒木から生えていて、カサの大理石模様がわかりやすい目印となる。
    先週覗いてみた富士山のブナ林が面白かったので、今週も行ってみた。その狙いの一つがコイツだったのだが、案の定。写真に写っている一番大きい個体で、カサの径は7cmくらいある。もちろん、採取させていただいて食してみた。味、香り、そして歯ごたえ、そのすべてがワイルドだった(当たり前か・・・)。


    2014/10/2 (富士山)


    2014/10/2 (富士山)

    Eat-a Fungi.
    東京在住。キノコ中級者。いちばん好きなキノコはチャナメツムタケ。自由業。

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    *このブログ中でのキノコの同定には間違いがある可能性もあります。天然キノコを食される場合にはご自身の責任においてご判断ください。 *福島第一原子力発電所事故の影響により富士山をはじめとする各地で天然キノコの採取に対する自粛の要請が自治体から出されています。このサイトは皆さまに各地での天然キノコ採取を薦める主旨のものではありません。くれぐれも、各自、自己責任でのご判断を願います。